販促レポート
2017/11/07 専門家の解説
変形労働時間制を検討してみませんか/飯田橋事務所ニュース
残業時間に上限を設ける法律が検討されています。これ以上の残業削減は無理...という会社も中にはあるでしょう。本日は、社会保険労務士法人飯田橋事務所よりの寄稿。変形労働時間制という制度をご紹介。
残業時間に上限を設ける法律が制定される?

最近、過労死に関する報道をよく耳にします。
長時間労働による過労死等を防止するため、首相官邸の政策会議の一つ「働き方改革実現会議」を中心に、残業時間の上限を設ける法律の制定が検討されています。
すでに多くの会社は残業削減に取り組んでいることと思います。しかし、それでもなお残業せざるをえないということもあるでしょう。
仮に残業規制が近い将来において強化されたとしても、大切な仕事を滞らせないため「変形労働時間制」という制度を検討しておくのも一つの手段です。
ただしその際は、労働時間制の変更に関し、就業規則の改定をしなければなりません。
変形労働時間制について

変形労働時間制の基本的な考えかた
労働時間の法定の制限は、週40時間および1日8時間が原則です。
週、1日、いずれを超過しても法定外労働(残業)です。たとえば、祝日があるため4日勤務の週でも、ある日に残業して9時間働けば1時間の法定外労働(割増賃金が必要)ですが、週は「8時間×4日+1時間=33時間」しか働いていません。
このような場合、あらかじめ変形労働時間制を導入しておけば、実労働時間は変わらなくても、法定外の労働時間をなくしたり、減らしたりすることができるかもしれません。
時短効果が最大のメリット
たとえば、「1週目42時間勤務、2週目38時間勤務」だと、原則的には週で法定外労働2時間が生じます。変形労働時間制では「(42時間+38時間)÷2=40時間」で、法定外労働がゼロになります。
このように、変形労働時間制は、基本的に一定期間を平均し週40時間以内に収まれば「ある日」に8時間を超え、「ある週」に40時間を超えても法定労働時間内として取り扱うものです。忙しくて労働時間の多い時期があったとしても、業務が少ない、休日が多いなどのために労働時間が少ない時期があれば、これらを平均して考えることができるため、法定外労働を減らすことができるメリットがあります。
様々な種類の変形労働時間制

変形労働時間制には、様々な種類のものが考えられます。自社の働き方にあった変形労働時間制を検討してみましょう。
1年単位の変形労働時間制
1年以内の期間を平均する。原則、事前計画を変更できない。週52時間、1日10時間など上限あり。労使協定の届出が必要。
1カ月単位の変形労働時間制
1カ月以内の期間を平均する。比較的導入しやすいが期間が短いため季節ごどの繁閑は平均できない。必須ではないが、労使協定により定める場合は届出が必要。
1週間単位の非定型的変形労働時間制
1週間を平均する。30人未満の小売店、飲食店など特定業種のみ可能。労使協定の届出は現段階では不要。
フレックスタイム制
出退勤時刻を労働者に決めさせる。ワークライフバランスなどのメリットもある。労使協定の届出は不要。
企業へのアドバイス

民法が改正されました
民法が改正され、債権の消滅時効の規定が整理されることになりました。現在は「飲食代は1年」「診療代、工事の請負代金は3年」など職業別にさまざまな短期消滅時効が定められていますが、これが廃止され、改正後は原則5年に統一されます。
賃金債権の消滅時効
賃金債権についても消滅時効があります。現行の民法の短期消滅時効では「1年」と非常に短く労働者の保護に十分とはいえなかったため、労働基準法で「賃金は2年、退職金は5年」と民法を上回る消滅時効が定められており、労働基準法の方が優先されます。
労働基準法の見直しを検討
しかし、今回の民法改正によって消滅時効がすべて「5年」になるのに、賃金の消滅時効は労働基準法により「2年」のままという逆転現象が起きてしまいます。そのため厚生労働省では、労働基準法の見直しを検討することになりました。
残業代請求は過去2年分→5年分に?
訴訟により不払い残業代の請求がおこなわれる場合、過去2年分の残業代が請求対象となりますが、今後、賃金の消滅時効が「2年→5年」に変更された場合、過去5年分まで遡ったものが請求対象となるかもしれません。
いかがでしたでしょうか。
大切な仕事を滞らせないため「変形労働時間制」という制度を検討しておくのも一つの手段です。変形労働時間制には、様々な種類のものがあるため、自社の働き方にあった変形労働時間制を検討してみましょう。
<ライタープロフィール>

最近、過労死に関する報道をよく耳にします。
長時間労働による過労死等を防止するため、首相官邸の政策会議の一つ「働き方改革実現会議」を中心に、残業時間の上限を設ける法律の制定が検討されています。
すでに多くの会社は残業削減に取り組んでいることと思います。しかし、それでもなお残業せざるをえないということもあるでしょう。
仮に残業規制が近い将来において強化されたとしても、大切な仕事を滞らせないため「変形労働時間制」という制度を検討しておくのも一つの手段です。
ただしその際は、労働時間制の変更に関し、就業規則の改定をしなければなりません。
変形労働時間制について

変形労働時間制の基本的な考えかた
労働時間の法定の制限は、週40時間および1日8時間が原則です。
週、1日、いずれを超過しても法定外労働(残業)です。たとえば、祝日があるため4日勤務の週でも、ある日に残業して9時間働けば1時間の法定外労働(割増賃金が必要)ですが、週は「8時間×4日+1時間=33時間」しか働いていません。
このような場合、あらかじめ変形労働時間制を導入しておけば、実労働時間は変わらなくても、法定外の労働時間をなくしたり、減らしたりすることができるかもしれません。
時短効果が最大のメリット
たとえば、「1週目42時間勤務、2週目38時間勤務」だと、原則的には週で法定外労働2時間が生じます。変形労働時間制では「(42時間+38時間)÷2=40時間」で、法定外労働がゼロになります。
このように、変形労働時間制は、基本的に一定期間を平均し週40時間以内に収まれば「ある日」に8時間を超え、「ある週」に40時間を超えても法定労働時間内として取り扱うものです。忙しくて労働時間の多い時期があったとしても、業務が少ない、休日が多いなどのために労働時間が少ない時期があれば、これらを平均して考えることができるため、法定外労働を減らすことができるメリットがあります。
様々な種類の変形労働時間制

変形労働時間制には、様々な種類のものが考えられます。自社の働き方にあった変形労働時間制を検討してみましょう。
1年単位の変形労働時間制
1年以内の期間を平均する。原則、事前計画を変更できない。週52時間、1日10時間など上限あり。労使協定の届出が必要。
1カ月単位の変形労働時間制
1カ月以内の期間を平均する。比較的導入しやすいが期間が短いため季節ごどの繁閑は平均できない。必須ではないが、労使協定により定める場合は届出が必要。
1週間単位の非定型的変形労働時間制
1週間を平均する。30人未満の小売店、飲食店など特定業種のみ可能。労使協定の届出は現段階では不要。
フレックスタイム制
出退勤時刻を労働者に決めさせる。ワークライフバランスなどのメリットもある。労使協定の届出は不要。
企業へのアドバイス

民法が改正されました
民法が改正され、債権の消滅時効の規定が整理されることになりました。現在は「飲食代は1年」「診療代、工事の請負代金は3年」など職業別にさまざまな短期消滅時効が定められていますが、これが廃止され、改正後は原則5年に統一されます。
賃金債権の消滅時効
賃金債権についても消滅時効があります。現行の民法の短期消滅時効では「1年」と非常に短く労働者の保護に十分とはいえなかったため、労働基準法で「賃金は2年、退職金は5年」と民法を上回る消滅時効が定められており、労働基準法の方が優先されます。
労働基準法の見直しを検討
しかし、今回の民法改正によって消滅時効がすべて「5年」になるのに、賃金の消滅時効は労働基準法により「2年」のままという逆転現象が起きてしまいます。そのため厚生労働省では、労働基準法の見直しを検討することになりました。
残業代請求は過去2年分→5年分に?
訴訟により不払い残業代の請求がおこなわれる場合、過去2年分の残業代が請求対象となりますが、今後、賃金の消滅時効が「2年→5年」に変更された場合、過去5年分まで遡ったものが請求対象となるかもしれません。
いかがでしたでしょうか。
大切な仕事を滞らせないため「変形労働時間制」という制度を検討しておくのも一つの手段です。変形労働時間制には、様々な種類のものがあるため、自社の働き方にあった変形労働時間制を検討してみましょう。
<ライタープロフィール>
担当ライター:飯田橋事務所
当事務所は東京千代田区・JR飯田橋駅近くにオフィスを構える創業38年の社会保険労務士事務所です。人事労務管理の実務に熟達した社会保険労務士と専門スタッフで構成され、各種支援サービス(人事労務管理)をトータルに提供する専門事務所になります。御社のご利用、ご相談をお待ちしています。
公式WEBサイト
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