本国ドイツで既に展開されているメルセデスベンツのオンライン販売。昨年10月、いよいよ日本国内でもネット通販がスタートされたようです。今まで縁遠かった業界が次々とオンライン化に舵を切るなか、未参入企業は何に備えるべきでしょうか。
今まで縁遠かった業界が次々とオンライン化へ
オンライン化の波は、ここ数年間でじわじわと広がりつつあります。
ECサイトに始まり、「Spotify(スポティファイ)」や「Apple Music」といったストリーミングサービス、「スペースマーケット」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」といったシェアリングエコノミーが普及し、宿泊業界やエンタメ業界などにもオンラインの波が押し寄せてきました。さらに、ここ2~3年で「VR」や「AI」といった技術も進歩し、オンライン上でも現実に近い世界を体験できるようになり、ネットとは縁遠かった業界のオンライン化が進んでいます。
代表例としてご紹介したいのが、LIFULLが手がける「HOME'S」の「オンライン内見」。
2017年10月にスタートしたこのサービスは、部屋探しから契約までのプロセスを全てオンラインで済ますことができます。ビデオ通話を使い、自宅や職場にいながら物件内部の見学をすることができ、一部の賃貸物件や新築分譲物件では「VR」での内見が可能です。不動産業界では、重要事項説明と契約は来店することが通例でしたが、ここをオンライン化したことにより、業界の構造、取引きのあり方が変わりつつあります。
参考:
オンライン内見(物件見学)ができる物件特集
これと同じく、オンライン化によって業界の構造の変革が起きているのが金融業です。
メガバンク3行では、オンライン化を推進し、合算で3万人以上の業務量を削減することが発表されています。みずほ銀行は、これに伴い、総従業員数の4分の1、2万人弱を人員整理すると発表しています。
参考:
3銀行大リストラ時代 3.2万人分業務削減へ
メルセデス・ベンツがオンラインストアを開設
オンライン化の流れの中で、特に衝撃的だったのが、2017年10月にメルセデス・ベンツ日本がネット販売をスタートしたことです。
参考:
Mercedes-Benz Online Store - メルセデス・ベンツ
自動車や不動産売買といった高額商品はネット通販が難しい・・・という既成概念を覆したから驚きです。従来の高級車のディーラーは、ちょっと立ち寄って車を見てみたい、他と比較したいからチェックしたいという潜在層にとっては来店のハードルが高い印象でした。つまり、オンラインストアは・・・
- 同一条件下でモデルを比べたいユーザー
- セールスマンが煩わしいと感じるユーザー
- カタログチラ見程度のライトユーザー
といった、今までディーラーが取りこぼしていた潜在顧客を上手く掬っているといえます。
現状では、値引き交渉を行えず、ワンプライス価格という面はあるものの、規定の書類を用意すれば最短20分で購入ができ、かつ納車も最短10日とオンラインショップならではの迅速さはすでに実現されています。今後の課題は「試乗」ですが、VRの技術向上やシェアリングカーの普及などで、オンライン上で仮想試乗、出張試乗車なども近いうちに実現されることと思われます。
オンライン化時代でさらに重要になること
さて今後、販売プロセスまでとはいかなくても、あらゆる業界で一部のプロセスがオンライン化していくことはもはや避けられない状況になりつつあります。来たるオンライン化の時代に、一体どのようなことが重要になるのでしょう?以下に、考えられる4つの概念を提言いたします。
1.価格より重視される体験
「体験」は、すでにビジネスでは重要な項目ですが、オンライン化が推し進めばさらに重要になると予想されます。VRによる仮想体験、IoTによるオフラインとオンライン世界の融合、今後は「オンライン上」でユーザーにどれだけ「感動」「楽しさ」といった体験をさせられるかがキーとなります。
2.手軽なスマホ決済の導入
スマホの使用率が高まる昨今、スマホだけで決済完了できることが大切になります。決済代行システムのPayPal(ペイパル)、PAYGENT(ペイジェント)などを使えば、安い手数料で簡単に導入できますし、クレカを読み取るだけで決済が完了する「ONE PAY」など、より利便性の高いシステムも登場しています。
3.プロセスの簡略化
スマホで閲覧することを前提に、「見積もり→成約→納品」までのプロセスをシステムで自動化し簡略化に勤めましょう。前段で紹介した「HOME'S」の賃貸契約では、本来は対面で行う「書類入力」「書類確認」の工程をテレビ電話に置き換え、来店や対応の手間暇を大幅にカットしています。
4.ITリテラシーの高度化
パソコンなんて苦手・・・ビジネス現場でこのようなセリフを聞く事はめっきり少なくなりました。建設業や釣り船業など、かつてITリテラシーが不要とされた業界も、世代交代とともに情報の高度化が進んでいるのを体感します。経営者を含め、ITリテラシーの高度化はさらに求められます。
いかがでしたでしょうか。
オンライン化の波は、大きな法律や昔からの伝統が深く根付いた業界を根底から覆し、業界を改革していくと予想されます。来たるべきオンライン化への備えとしてて、今日のコラムが参考になれば幸いです。
<ライタープロフィール>
担当ライター:ryusuke
WordPressサイト制作/Web集客の専門家。大手広告代理店にて、百貨店や出版社のリスティング広告運用を担当。その後独立、広告代理店で培ったSEOやデータ分析の知見を活かし、個人メディアを運営する傍らフリーのコンテンツライターとして活動中。執筆テーマは、集客やマーケティングなどビジネス関連、グルメや音楽関連。
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