販促レポート：どうして「街の電気屋さん」は生き残れたのか？その謎に迫る 【販促ノベルティ卸売りセンター】

大型の家電量販店や通販サイトが台頭し、中小規模の電気店の多くが閉店を余儀なくされました。しかし、依然として営業を続ける個人の電気屋さんを街中で見かけます。一体どういった理由で生き残れたのでしょう。本日は、その謎を紐解きます。

零細だけでなく中小電気店も閉店を余儀なくされた歴史


家電量販店の起源は、秋葉原や大阪の日本橋といった電気街にあった電器店がチェーン展開したのが始まりといわれています。

その後90年代に入り「ヨドバシカメラ」や「ビックカメラ」といったお馴染みの大手企業が、AV機器・家電・パソコンの他に酒類など取扱品目を増やし、全国にチェーン展開を始め競争が激化していきました。

さらに2000年代、ネット通販サイト「Amazon」や「楽天市場」がサービスを開始し、競争はより熾烈になりました。
また90年代後半～00年代初頭には、北海道を地盤に展開していた「そうご電器（2010年にゲオが吸収）」、東北を中心に展開していた「庄子デンキ（2008年閉鎖）」、そして関東を中心に展開した「新栄電機産業（2003年倒産）」といった地域にネットワークを持つ中規模の家電量販店も、次々と吸収合併・倒産と業界再編の波に飲み込まれたようです。

そして2010年代、ネット通販は益々便利になり市場規模はさらに拡大。
家電量販店は「ショールーム」と揶揄されるなど、2013年には業界首位の「ヤマダ電機」がついに赤字転落したニュースは衝撃的で記憶に新しいところです。ご存知の通り、現在では大型の家電量販店でさえも、なかなか厳しい経営状況に置かれているのが現状です。


どうして「街の電気屋さん」は生き残れたのか？


こういった非常に厳しい環境の中で、どのようにして街の電気屋さんは現在まで生き残ってきたのでしょうか？諸説あるようですが、Webライター目線で理由を考察してみました。

顧客の取捨選択、格安を求めない層に活路を見る
家電がどんどん高性能になる中、全ての機能を把握しその優劣を見極めるのは大変なことです。特に、ITリテラシーが高くない高齢者であれば尚更でしょう。子育てを終えた豊かな経済力を持つ高齢者世帯にマーケットを絞り「商品の選択」から「搬入設置」「定期メンテ」、時には「使い方の説明」といった痒いところにも手が届くサービスで活路を見い出したのがうかがえます。

電気に関する困りごとをスピーディーに解決
家電量販店は、価格が安く豊富な品揃えで便利ですが、修理に関してはそこで購入したもの、あるいは対象商品に限られており、「電気に関する困りごと」の全てに対応してくれるわけではありません。その点、地域に根ざし営業している電気屋さんは、「電気に関する困りごと」があれば、すぐに駆けつけて対応してくれます。この対応がまた一つの強みといえます。

電気工事など技術をウリに対応する柔軟さ
築年数が古い住宅だと備え付けのソケットやコンセントが古い場合が多く、最新の照明器具などが設置できないことが少なくありません。そういった場合には、ソケット交換などの「強電工事」が必要で、国家資格を有する技術者の施工が前提となります。当然ながら家電量販店やネット通販では対応できず、技術をウリとする街の電気屋さんに一日の長があります。

大手の家電量販店が出店できない地域で展開
一つは、大手の家電量販店が出店できない地域で展開をしているためです。例えば、地方の山間部は人口も少なく大手の家電量販店が出店することはあまりありません。しかし、このような地域に住む人は、買い物のために都市部まで出る必要があります。その点、個人商店であれば、小回りが利くため地域の細やかなニーズに柔軟に対応することができます。

このように街の電気屋さんの一部は、高い技術力で地域の「電気に関する困りごと」を解決するなど、大手の家電量販店とは一線を画したサービスを展開し現在まで生き残ることができたようです。


まだ他にもある！活路を見出して生き残っている街の小さな専門店


前章までは、街の電気屋さんについて取り上げました。実は、その他にも独自の個性で活路を見出し、生き残っている専門店があります。ここでは、二つの事例をご紹介いたします。

花屋さんの場合
様々な街で花屋さんを見かけると思いますが、飲食店のようにお客さんで常にあふれているというイメージもなく、どうやって成り立っているのかと不思議に思ってしまいます。実は、結婚式場や葬儀場など冠婚葬祭を行う企業に対しての卸しをメインの収益源としていることが多いため、個人のお客さん相手にさほど数が売れなくてもやっていけるという仕組みになっています。

文房具屋さんの場合
文房具屋さんも花屋さん同様、メインターゲットが法人です。市役所や学校といった手堅いクライアントからの大量発注が定期的にあるため、それだけで成り立つことができます。また、昔から営んでいる場合取引先と強いパイプでつながっていることが多く、ネット通販と提携して代金の回収代行をしているケースもあります。そのため、通販サイトとは競合せずに協業することもできます。

電気屋さんだけでなく、ここで紹介した花屋さんや文房具屋さんが生き残っている理由を改めて振り返ってみると、

• 地域に根ざした活動を行っている
• 専門特化した技術や古くからの手堅い人脈を強みにしている
• 法人もターゲットに事業を展開している

大型量販店やネット通販サイトが対応を避ける「細やかなニーズ」を埋めることが、地域の商店がこれからも生き残っていく上で必要な要素となるでしょう。


いかがでしたでしょうか。
ネット通販や大手量販店の台頭により生活は便利になりました。とはいえ、便利になっても全ての人のニーズが満たされることはありません。必ずそこには、新しいニーズや個別ニーズが生まれます。そして場合によっては、専門技術や古くからの手堅い人脈がなければ解決できない「しきたり」や「ローカルルール」も存在します。


＜ライタープロフィール＞

担当ライター：ryusuke
大手広告代理店にて、顧客である百貨店や出版社のリスティング広告運用を担当。その後独立、広告代理店で培ったSEOやデータ分析の知見を活かし、個人メディアを運営する傍らフリーのWebライターとして活動中。執筆テーマは、グルメ関連やビジネス関連など、その他様々な分野のコラムや解説を得意とします。
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